「最初の一歩は、小さな声から。」
〜グループホームで出会った“変化”〜
「おはようございます」
彼が初めてそう言ってくれた朝のことを、今でも私ははっきり覚えています。
入居当初、Bさん(20代・発達障害のある利用者さん)は、毎日うつむいたまま、部屋から出てくるのもやっとでした。
食事のときも無言。声をかけても、目を合わせることはありませんでした。
私たち職員は、無理に何かをさせることはせず、「挨拶はしなくても、来てくれてありがとう」「この席が落ち着くかな?」「今日はこのおかずが好きかな?」
――そんなふうに、そっと寄り添う日々が続きました。
ある日のこと。
レクリエーションで「簡単なお菓子作り」をしたとき、彼ははじめて自分から椅子を引いて、その場に座ってくれたんです。
少し緊張しながら、粉をまぜて、型を並べて、焼きあがるクッキーをじっと見つめて。
終わったあと、ぽつんと一言、「楽しかった」と。


そこから、彼の日常は少しずつ変わりはじめました。
「おはようございます」
「洗濯物、干してきます」
「○○さん、今日は何作るの?」
言葉の数が少しずつ増え、笑顔が少しずつ多くなっていきました。


支援の現場では、目に見える変化を焦ってしまいがちです。
でも、安心できる居場所の中で、自分のペースで進めることが何より大切だと、Bさんから教えてもらいました。
今では、他の利用者さんの名前を覚え、スタッフに冗談を言い、ときどきお菓子作りのレクでは先頭に立って動いてくれることもあります。
「最初の一歩は、小さな声から。」この場所には、その一歩を受け止めて、支え合う仲間とスタッフがいます。
これからグループホームを探している方へ。
すぐにすべてが上手くいかなくても大丈夫です。
ひとつひとつ、小さな変化を一緒に喜び合える――そんな環境をご用意しています。

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