「“普通に過ごす”ことの重みを、私は知った」
ある午後のレク活動から
Cさんは、統合失調症の診断を受けた20代後半の男性利用者さんです。
入居当初は緊張が強く、人との関わりを避ける傾向がありました。
話しかけると視線を逸らし、声も小さく、不安定な日々が続いていました。
ある日、午後のレクリエーションで「お菓子作り」を行う機会がありました。
最初は壁際に座っていたCさんに、私が「一緒に混ぜてみませんか?」と声をかけると、少し迷いながらも、小さなボウルを手に取ってくれました。
「混ぜるだけでいいですよ」
「うまくできなくても大丈夫」
そんなふうに声をかけると、彼は、少しだけ笑ったのです。


その日を境に、Cさんは少しずつ、生活に参加するようになりました。
配膳を手伝ったり、ゴミを出してくれたり、他の利用者に「こんにちは」と言ったり。
私たち職員の何気ない声かけや日常のやり取りが、彼の心に少しずつ灯りをともしているような気がしています。
精神疾患は「見えない障害」と言われることがあります。
だからこそ、焦らず、責めず、“ただそこにいていいんだよ”と伝え続けることが支援なのだと思います。
Cさんが、今日も穏やかに過ごしている。
それだけで、私たちは嬉しいのです。



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